ホグワーツ
「ねー。幕の内弁当ないの?」
「いや、ないだろ」
「ホグワーツへ」
「む〜お腹すいた〜!!」
は窓の桟に肘をつき、どんどん過ぎていく景色を眺めながらぷうっと頬を膨らました。
の膝にとまってきる鷹のは溜息をついて
「まもなく車内ワゴンがくるから・・それで何か買いなさい」
スネイプの件から数日後、はホグワーツ行きの汽車に乗っていた。
これから行く学校にスネイプが待ち構えていると思うと・・・・
「ふへぇ・・・」
とは溜息をつく・・。
(考えてみればさ・・父さん達の思い出話だけであんまり詳しく聞いてないよね・・・)
なんだか急にやるせない気分になる。は「そういえば」と杖を取り出した。
「杖ってさ、持ち主の適性があるんでしょ?」
は杖を見ながらに言った。
「ああ、その持つ人間の利き手からはじまり、性格や秀でている能力・・
生まれた環境なども関わってくる。」
「だから私は桜と榊のつむぎ木に、龍の髭かぁ・・・」
は杖をかざして眺めた。仕上げに漆が塗られ、持ち手部分に金箔の装飾が施されている。
「魔法使いと陰陽師って似てるけどじつは根本的なところが違うって父さん言ってたけど・・
知ってる?何が違うの?」
は嘴をカチと鳴らすとの杖を見ながら言った。
「確かに・・・見た目は陰陽師も魔法使いも同じようなものだろうな。まじないの呪文を唱え、
薬を扱う・・だが陰陽師には・・・」
とが言い掛けるとコンパートメントのドアが開いた。
「なんだよ〜ママもビルも・・気になるな〜・・・・あっ・・・」
真っ赤な髪にヒョロッとした男の子と黒髪にまるいメガネをかけた少年が話しながら入ってきた。
の存在を見つけなにやら困惑した様子だ。
はピンときて
「いいのよ?私一人だから」
とにっこり微笑んだ。二人の少年はほんのり頬を紅く染めて
「じゃあ、お邪魔させてもらうね」と腰をおろした。
二人の後には栗色のフアフアした髪のかわいらしい女の子が入ってくる。
「他はどこも空いてなくて・・助かったわ!私はハーマイオニー。ハーマイオニー・グレンじゃジャーよ」
ハーマイオニーという女の子につられてふたりの男の子も自己紹介をする。
「ぼっ僕はロン!ロン・ウイズリー!」赤毛の男の子は顔を髪と同じくらい赤くしながら言った。
「僕はハリー・ポッターよろしくね」メガネをかけた男の子が言った・・・・
ハリーポッター・・・・・
その名前には聞き覚えがあった。両親から聞いた亡くなった友人の息子・・・そしてたまに遊びに来るあの人もよく話してたっけ?
きょとんとハリーを見つめるに、ハリーはかーっと赤くなった。
「あっあの、僕の顔に何か・・?」
どもるハリーには慌てて
「あっごめんなさい!私は、・よ。四年生です」
「えっ!四年生!僕達と同じだねvどこの寮?」とロンが聞いてきた。ハリーもハーマイオニーも興味津々な顔でを見つめてくる。
「あー・・私、今年からホグワーツに入るの。だからどこの寮かはまだ・・・って寮っていくつもあるの?」
そう首を傾げてくるに三人は固まった。
かわいい・・・・
はセミロングの黒い髪に、黒く丸っこい瞳。14歳なのだがそれよりも幼くもみえる・・。
フリーズしている3人には「なっなんかトチッたかな・・」と不安そうな顔をした。
「私・・・何か変なこと言った?」
「なっなんでもないのよ!えーっとは東洋の人よね?」顔を赤くしながら聞いてくるハーマイオニーに
「うん!日本からきたのよv」とは微笑む。
「じゃーロンドンまで飛行機?」ハリーが大変だったねと聞いてきたが
「ううん、実はね家の竈に押し込められて(ダイアゴン横丁)と言ったらこっちに・・・」
そう答えるにロンは「あっフルーパウダーだね」といった。
「あなたはマグル?」
「?マグル・・・・って何」首を傾げるにロンは「非魔法族のことだよ」と教えてくれた。
「ん〜・・・非魔法・・かな?・・・・・」
そうを見ると、は首を横に振り
「は非魔法族ではないな。が魔法族というのも・・・は陰陽師という・・まあ諸処違う所もあるが魔法族にしとけ」
と膝からの肩にとまりなおすを見ながら
「だそうっす」
と3人を見るとを見たまま固まっている。
「ペットがしゃべったああああぁぁぁぁっ!!!!」
プチ
「ペットじゃねえええええええぇぇぇぇぇぇっ!!」
が怒鳴り散らすとは手を額にあてた・・
(あっちゃ〜・・・にペットは禁句なんだよね・・・)
「誰がペットじゃ!ぼけえぇっ!私はなの・・・家の忠実なる使い獣だ!以後言葉には気をつけろ!小童どもが!」
3人はまだ固まったままだ・・・は慌てて
「あっはね、私の家の守護神の化身でもあるの。は家にいる鷹の中で一番優秀で話すこともできるのよ」
とフォローする。は少し尊大な態度をとって
「けっ!ったくそういや、リーマスの奴も散々ペット呼ばわりしやがってな・・・」
「はは・・・;リーマスおじさん、半分はからかってたもんね」
「リーマスって・・リーマス・ルーピン先生のこと?!」とハリーが身を乗り出して聞いてきた。ロンもハーマイオニーも驚いた表情だ。
とは顔を見合わせ
「えっ・・・あっ・・うん。リーマスおじさんのファミリーネームはルーピンだよ・・・って先生?」
「リーマスはホグワーツで教師をやっているのか?」
「驚いた・・・ルーピン先生を知ってたなんて・・ルーピン先生は去年退職してしまったんだ・・良い先生だったのに・・・」
ハリーは悲しそうに言った・・。
「・・・ふーん先生だったんだ・・って魔法使いだったの?おじさん!」
「あぁ・・・まあな。ハヤトも言ってたろ・・ポッターと同じ寮生だったと・・リーマスもそうだった・・あとシリウスもな・・」
一瞬、が悲しそうな顔をしたのではの頭を撫でた。は目を細めの撫でる手に頭をゆだねる。
「僕の・・・お父さん・・・?」ハリーが目を見開いてを見つめた。
(僕のお父さんを知っているの?)
「ああ・・そうだ。お前はジェームズの息子だな。さっき名前聞いた時に確信したよ。よく似ている」
はハリーの膝に軽く飛んだ。
「リリーのこともよく覚えているよ。学生の時はバカップルで有名だったな」
そういうにハリーは苦笑いをした。
「の両親もバカップルだったがな。同じグリフィンドールだったよ・・・」
「そう・・ですか・・・」
それからは3人+一羽にホグワーツの事、寮の特性や夏に行われたクィディッチのワールドカップ杯など魔法界など、
様々なことを教えてもらった。途中彼らの同僚生に紹介してもらい、ネビル・ロングボトムというちょっと気の弱そうな男の子とも仲良くなった。
クィディイッチの話で盛り上がっている途中、は「ちょっと散歩してくるねv」とコンパートメントをでた。
魔法界のことをたくさん聞いて、どんな魔法使いがいるのだろうと車内を探検してみたくなったのだ。
を肩に乗せ車内を探検していると、通り過ぎる人が皆振り返る。
「かわいい・・・」
「新入生かな?」
ウキウキ気分なにはそんな囁き声は聞こえなかったが、はしっかり聞き取り
(よしっ、こいつの顔は覚えた。もしに手出してみろ・・・その時はてめえの目ん玉突付いてやらぁ!)
恐ろしい使い獣である・・・。
「そろそろ、戻ろうかな〜」踵を返そうとしたに
ドンッ
と何かがぶつかった。
思わずよろけてしりもちをつく。
「・・いたあーい・・・」
半分涙目になりながらぶつかった物体を見上げると、体格のいい大きな男の子がを見下ろしている・・・
(・・・う・・・ごっつ・・・)
「おい、ゴイル早くすすめ」
と後ろにいた男の子がヒョイと顔を出した。みるともう一人体格のいい男の子に、顔をだした少年は二人よりも小柄だが二人より偉そうな・・
でも気品がありそうな顔をしている。
(うわ〜きれいな髪の色〜!!)
こちらではプラチナブロンドというのだろうか。は呆けてその髪にみとれていた。顔じゃないところがミソ!
少年はに気づき、ゴイルと呼ばれた人物の前にたった。腕を組みながらを見下ろし
「何、道を塞いでいる」と冷たく言い放つ。
「はひ・・でもなんかね・・上手く立てない・・・」
そう上目使いしてくるに金髪の少年はほんのり頬を赤く染めた。
(かわいいじゃないか・・)
の目がキラリと光る。
「全く・・これから気をつけろ」とに手を差し伸べた。は少年の手を借りてヨタヨタと立ち上がり
「どうもありがとう」と微笑んだ。
ピッキーン
頬を赤くしながら固まる三人に(後ろの二人もかわいいと思ったらしい)
「ごめんなさい道塞いじゃって・・あと立たせてくれてありがとう!私は・。今年からホグワーツ生で四年生です。」
と日本式の礼儀正しいお辞儀をした。
「・・か。僕はドラコ・マルフォィ。そしてクラッブにゴイルだ。転入生か珍しいな・・」とを探るようにみてくるドラコに
「あっうん。家の修行が終わったのでこっちに・・・」そう言い掛けたに「穢れた血ではなにのだな」と頷きながら彼が言った。
「・・・・?(穢れた血?)」
「僕も四年生だ。何か分からないことがあったら僕に聞くといい。」
「本当!ありがとう!!」
「君が同じスリザリンになることを願っているよ」とドラコとクラッブ&ゴイルはとは進行方向逆の方へ消えて行った。
「わ〜〜。今日はたくさんの人と知り合えたね〜vなんだか楽しみになってきた!」
「あの・・白髪頭には特に注意しないとな・・はそう簡単に渡さん・・・」