10000フリー
「きゃああああああ!」
「!?なっ・・・・!!」
ドサッ
「拍子で・・・」
・・・・・・・
日本から来た魔女だったか・・・所属寮はグリフィンドール。いやな寮だ。
そして・はこれまた我輩がもっとも目障りとする者と仲が良い。
ウィーズリーの双子やポッター共・・・同じ寮ならば仲がいいのは至極自然なことだが・・・
名前を聞くだけで虫唾が走る寮に、顔をみるだけでどうしようもない怒りがこみ上げてくる友人共・・・
だが、・本人に関してはそんな負の感情は沸いてこなかった。
沸いてくるのは興味・好意の感情・・・・
我輩も落ちたものだ
明るく、活発的。誰にでも同じように接する生徒。
それは寮関係なく・・誰にでも向けられる笑顔。
授業で大広間で、廊下で・・・・を見かけるたびに
彼女に釘付けになっていた。
そんな・はホグワーツ中から好意を寄せられている。
誰もが・の笑顔を自分のものしたいと願っている。
ふん・・・ほとんど病的だな
そんな・が、今、我輩の上に落ちてきた。
「っつ・・・・いたたたー・・・もー何よ〜あの階段!いきなり動くなんて!!!どうにかしてるよ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「だいたい、何で階段が動くのよ!階段らしくちゃんと役目してよねー!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・おい・・・・・」
「あーもーまた、動いてるー!これじゃしばらく寮に戻れないじゃない!」
「おい!」
「ん?え?・・・・あ・・・・どうも!スネイプ先生!!・・・・・・・何やってるんですか?」
は自分の下で潰れかかっているスネイプを不思議そうに見つめた。
「っつ!貴様が!我輩の真上に落ちてきたのだ!さっさとどかんか!馬鹿者!!!」
「おー!なーるへっそ!ほいほい・・」
そう納得したようにポンと手を叩くとスネイプの上からおりた。
ニッコリ笑って手を差し伸べるが、スネイプはを睨みつけたまま自力で立ち上がる。
は「ありゃりゃ」と苦笑いして、空いたままの手のひらを見つめた。
「も〜ちゃんと避けないとだめじゃないですか〜」
「・・・・・・・・・・それが下敷きにした者への言葉かね?ミス・」
「う・・・・えっとありがとうございました!」
「?」
「先生が受け止めてくれてv」
そう顔を上げてニッコリとスネイプに微笑む。
その可愛らしい笑顔に思わず顔がにやけてしまいそうで、バッと背中を向ける。
「ふん!なんのことだかわからんな・・・・・・以後気をつけなさい」
そういうとスネイプは足早にその場を離れた。
「はーい!ありがとうございましたー!」
スネイプの背中にの声が優しく降りかかった。
本当は、なんのことだかわからなくなかった
避けようと思えば簡単に避けられた。
だが愛しいと思っている者にケガをさせたくないだろうが・・・
・のことがあってからというもの我輩は知らず知らずのうちに
至るところで彼女を目で探していた。
授業でも彼女のいるグループの所に何度も見に行った。(他の生徒は嫌な顔をしたが)
そういえばとスネイプは顎に手をおいた。
他の生徒は自分のことを怖がっていたり、嫌そうな目で見てくるが
は一瞬たりともそんな視線を送ってきたことはなかった。
廊下ですれ違えば逃げるように小走りになる生徒に対し、ニッコリとスネイプの目を見て挨拶をする。
時にはスネイプを追いかけてきて、授業でわからないところを聞きにきたりもした。
本人にしてみれば、自然の振る舞いなのであろう・・現に彼女は他の教師にも同じように接している。
だが、スネイプにとってはとても特別なことだった。
スネイプの中で・という人物がますます大きな存在へと変わっていく・・・・
「スネイプ先生ー!?あのですね!今日の授業のことなんですが・・・・」
ほら。今日もはスネイプに微笑んだ。
「!君は俺といるのが一番幸せなんだ!!」
嫌なものを見た・・・・・
大広間から研究室へ帰る途中、廊下の小さなくぼみで声がしたので
音をたてぬようそっと覗き込むと、
2人の生徒がそこにいた。
と男子生徒。その生徒には覚えがある。我がスリザリンの生徒・・
男子生徒は何やら落ちつかない様子だ。
もしかしてこれは・・・
「ずっと、君の事を見ていたんだ・・・・・・・」
スネイプは目の前が真っ暗になった。
なぜそんな気分になるのか、自分でもよくわからなかったが・・
なにか心にぽっかりと穴が開いたようだった・・・
苦痛に目を閉じ、その場を離れようとする。
(ふ・・教師が生徒に惚れるなど・・・甚だおかしいことだな・・・)
だが、次に聞こえてきたの声にスネイプは足を止めた。
「ごめんね。私好きな人がいるんだ」
ひどく落ち着いた気がした。
けれども、結果は同じこと。
(そうか・・・には心思う者がいるのだな・・)
そして今度こそその場から離れて・・・・・
もし・・・もしも・・・
その相手が自分だったら・・・の心を掴んで離さない者が自分であったなら・・
「フッ・・・何を言っているのだ我輩は・・・」
そう自嘲する。
だけど、もしそうなら・・・・・
「に好きな奴がいる!」
その翌朝、大広間ではこの話題でもちきりなっていた。
そんなことを撒き散らしたのは、昨日に断れたスリザリン生・・・
大方、ふられた腹いせにの好きな生徒を他の生徒に探し出させ、
その生徒を袋叩きにでもする気なのだろう・・・・
その生徒の表情がそう物語っている。
我がスリザリンの生徒ながら恐ろしいものだ・・
実際多くの生徒が目の色を変え、の心を射止めた奴は誰だと豪語している。
スッとがその男子生徒の前に立ちはだかった。
いつもは可愛らしい笑顔を浮かべているその顔は、怒りに満ち睨みつけている。
握られた拳がかすかに震えていた。
他の生徒ものただならぬ気配に息を呑んだ。
スリザリンの席にだんだんとギャラリーが集まる。
「やあ、。」
睨みつけられた生徒はうっすらと気味の悪い笑みを浮べ、ねっとりと囁いた。
「あんたね。言いふらしたのは!」
「さあ?」
怒りを押し殺して唸るにバカバカしい笑みを浮かべる生徒・・・
「最低・・・自分の思いどうりにならなければ元を消せってやつ?」
「何とでも言え。俺を断るお前がいけないんだ・・・それに・・・」
その生徒は周りの生徒を見渡して、少し声を大きくし
「皆知りたいだろう?の好きな奴!そいつに独り占めは許せないよなあ?」
周りの生徒も大きく頷き、歓声が上がる。
嫌な空気が流れた。
「ちっ・・・事を大きくしおって・・・・」
スネイプは教員席から立ち上がり、話題の中心へと分け入って行った。
「貴様ら、騒ぎを大きくするな!」
は困ったような表情でスネイプを見上げた。
その男子生徒はわざとらしく笑顔を作り、
「なんでもありませんよ・・スネイプ寮監・・何・・ただの口論ですよ・・・」
その笑顔が癇に障る。酷く気味の悪い笑みだ。
「ほう・・・ならばさっさと各々寮席に戻れ」
落胆の溜息がこぼれ、パラパラと自分の寮席に戻っていく。
も自分の寮に戻ろうと踵を返した瞬間、
「お前の好きな奴を必ず見つけ、血祭りにあげてやる」
生徒がねっとりと耳に囁いた。
キッとは振り返り、その生徒に殴りかかった。
「あんた!!何て奴!!!」
「!?ミス・!何をしている!」
スネイプが慌ててを取り押さえようと腰に腕を回す。
「離してよ!先生!こいつ!根性曲がりすぎっ叩きなおす!!」
スネイプに押さえつけられながらじたばた暴れるを、嘲るように笑う目の前の生徒。
他の生徒は不安そうに見つめている。誰もがスリザリン贔屓をするスネイプが自分の生徒を守るために
を押さえつけているのだと思った。
「くっ・・やめなさい!ミス・!」
「離して!こいつ、私の好きな人に怪我させるって!許せないよ!あ〜もう!離してってば!!」
「だからといって離せるか!?阿呆が!」
「!阿呆!今私のこと阿呆と言いました!?」
「あぁ!言ったとも!すぐカッとなるのは得策ではないと思うがね!?阿呆が気にいらなければ、
たわけがいいか?たわけ者が!!?」
「っきー!何よそれ!!このすっとこどっこい!!」
何かがずれてきた・・・
は目の前の生徒に殴りかかろうとしていて、スネイプはを止めようとしていたはず・・・
それがなにやら2人の口論になってしまった。寮席に戻りかけていた生徒が再び集まりだす。
「暴力で物事を解決しようと思うほうが、よっぽどすっとこどっこいではないかね!?」
「っかー!もう!大体なんでこんなことになっているのよ!」
「それはお前が、我輩の生徒に殴りかかろうとしていたからだ!」
「じゃあ、何?他の寮生なら殴っていいていうの?それって贔屓すぎー!!?」
「なっ!誰も他の生徒を殴ってはいいといってないだろう!!」
「そういうように聞こえましたよー!それにそれに!殴ろうとしたのは先生のためなのにー!!?」
「はあ?なぜ我輩のためなのだ!?」
「こいつが!私の大好きな先生を血祭りに上げるって〜!!」
「はっ!こいつにそんな度胸などないわ!阿呆が!?」
「あ!また阿呆って言った!!阿呆言った人が阿呆なんだぞ〜!」
「何わからんことを!?大体お前はいつもいつも気になるんだ!」
「なんですと!いきなり私のせいですか!!都合が悪いからって人に擦り付けないでください!!」
2人口論を誰もが呆気に取られて見ていた。
原因となった生徒はすでに蚊帳の外だ・・・2人の口論を見つめていたジニーが
ポツリとハーマイオニーに囁いた。
「ねえ・・ハーマイオニー・・・」
「なあに?」
「・・・自分が何を言っているのかわかってないのかな?」
「そうね・・きっとスネイプもわかってないわね。ここにいる人たちも」
ジニーとハーマイオニーは顔を見合わせてクスリと笑うと、また2人の口論を眺めた。
2人の口論はさらに続く・・・・
「だいたい先生は渋すぎるんですよ!それが許せないわ!!」
「はあ?本当に阿呆かお前は!授業を上の空で聞いていれば減点にされるのは当然だろうが!?」
「っつーもう!阿呆16回言ってるー!!!上の空だったのは先生の声に聞き惚れていたわけで!」
「愚か者が!そんなに聞きたければあとで聞きにくればいいだろうが!もし失敗して怪我をしたらどうすんだ!」
「阿呆の次は愚か者かい!先生レパートリー多すぎ!授業終わったら先生さっさと準備室に入っちゃうから聞けないもん!」
「だからといって上の空で聞いて、怪我をされたらこっちの身がもたん!!お前の顔に傷が残ったらどうするんだ!」
もはや口論の内容は私情内容と化しているのにもかかわらず、本人達はもちろん
周りの生徒すら気づいていない・・・ジニーとハーマイオニーの2人だけがニコニコと2人を見守っている。
「なんか・・おもしろいカップルの登場ねv」
「そうねvv」
「傷が残ったら責任取ってくださいよ!!」
「ふん!致しかたあるまいな!!」
「いい加減にしなさい!!」
マクゴナガルの声が2人の口論を遮った。
驚いてマクゴナガルに振り向く2人・・とその取り巻き・・・・・
マクゴナガルは「はー」と深い溜息をついて
「まったく・・・恋人同士の喧嘩は他でやってくださいな?2人とも」
そう2人に呆れた表情を向けると、教員席につき朝食をとり始めた。
「・・??恋人???」
スネイプとは首を傾げた。そして一気に顔を真っ赤にさせる。
「っつ!///////」
「あ・・あ・・/////」
真っ赤になりながらお互い顔を見合わせる。
周りの生徒も驚きに目を見開いた。
いままで2人はなんと口論していた?
私の大好きな先生?
お前はいつもいつも気になるんだ?
ハーマイオニーとジニーの2人だけがクスクスと笑っていた。
それから1週間後−
「ミスター・ウィーズリー、を・・・ミス・を呼んできてもらえないかね?」
グリフィンドール寮の前でスネイプは寮から出てきたフレッドとジョージにそう言った。
「「我が姫君!!旦那様がお待ちかねです!!」」
「なっ!何それ〜!フレッド!ジョージ!!」
「・・・・グリフィンドールに1点与える。」
「って、先生も!!」
今ではすっかり2人のやりとりが当たり前の光景になっていた。
10000打破感謝記念フリードリーム!!!
今回はなんか元気がいいヒロインにしたくて;いやほら連載がなんか妙に乙女だし(爆)
お互い惹かれあってて、喧嘩でじつは思いが通じてたみたいな・・(笑)
見事に不発ってますね〜あはははっは〜!!
このドリームはお持ち帰り自由です