「待ちやがれェェェ!!」
「本当しつこいなお前はよぉぉぉぉぉぉぉ!!」
+リボルバーとベレッタ+
ドンドンドン
重い銃声音が港内に響き渡る。
私、 はやっとの思いで勝ち得た非番に、のんびりと町を散歩していたわけよ。
この日はじめじめと暑くてさ、、涼しみに行こう!なんとなく海が見たいなーって港に出てきたんだけど
どうやらそれが間違いだったみたい。
心地よい海風に思いっきり伸びをするや否や、いきなりの銃撃。
攘夷志士か
サッと身を翻し物陰に身を潜めると、両腰に下げたホルダーから愛機のベレッタ2丁を抜いて身構える。
けど次の瞬間響いてきた声になんというか・・・思いっきり疲れた;。
早く帰りたいとけど、あいつはそれを許さないらしい。ほんとこいつ会うたびにさぁ・・・
気づけば港に停泊している船は見覚えのあるもので、再び足を掠める銃弾にサッと身を翻して
その船の甲板へと跳躍する。
タンと降り立つとともに、見慣れた姿が揃ってた。
「おーおー、また狙われてんのかぁ?お前。ご苦労なこった」
「何とかしろよぉぉ!!お前の部下だろぉぉぉ!!」
甲板の縁に寄りかかっている男は、私を見とめると愉快気に口端をあげた。
なんか・・・なんか・・ものすっごくむかつくんだけど!!
何あいつ!!何持ってんのぉぉ!!
「あ?ムリムリ。巻き添えくいたくねーもん」
「もんじゃねぇよ!何んまい棒もさりながら見物ってんの!なんかむかつく!!
第一級テロリストの高杉がコンポタージュ味んまい棒を口いっぱいに
頬張ってんのってすっごいむかつく!」
「拙者はチーズ味でござる」
「聞いてないからぁぁぁ!」
「私はめんたいこです。どーですかさんもおひとつ」
しつこく降りかかる銃弾を軽く交わしながら、鬼兵隊の長とその幹部が揃って
仲良さ気に菓子を頬張っている様に、思わず銃弾をぶち込んでやりたくなった。
何こいつら!!こんな奴ら相手に真選組は苦戦してんの?!
「あー!あー!あー!!全種類1パックずつ屯所に送っとけ!!
って、鬼兵隊の三時のおやつがんまい棒ってどんだけー!!」
「昨日はガリガリ君だったぜぇ?しかも聞いて驚けぇ?新発売のチョコ味だぜぇ?」
「マジでかー!!真選組(うち)いまだにソーダ味なんだけどー!!」
「!!!やる気あるんスか!!」
「ねーよ!!全く持ってねーよ!!お願いだから人の非番ぶち壊さないでくんない?!」
私が一度も発砲せずに、高杉達につっこみまくっていたのにじれたのか、
銃弾を浴びせていたあいつが、とうとうぶちぎれたように騒いだ。
振り返れば、ずっと上から狙っていたのにいつの間にか甲板に下りてきて私を
睨みつけている。
その顔を見た瞬間、なんだかおもいっきりムカついて、私も怒鳴り返してやった。
あー・・何度見てもむかつくわこいつ。会う度に撃ってくるんだもん。
あいつ・・来島また子は私の言葉にさらに逆上したらしく、銃口を向けてきた。
弾かれるように物陰へと飛び込む。
「まぁ、楽しませろや」
「踏ん張るござるー」
「ふむ、女性同士の戦いもなかなか」
「外野うるせぇぇぇぇ!!まずお前らのそのカスカスな頭からぶち抜いてやろうかぁ!」
「貴様ぁ!!晋助様に無礼な口をきくなぁ!」
あーまじうぜぇ
私がこんなに口が悪くなったのって、絶対来島のせいじゃん?
絶対そうだよ!!男所帯な真選組だけどあいつに会うまで私こんなに
口悪くなかったもん!
だいたいなんで私だけがあいつに執拗に狙われなきゃいけないんだよ!!
ムカつく!!ほんとムカつく!!私の貴重な非番潰しがやって。
絶対今私目おもいっきり据わってんよ。
とにかく早く帰りたい。と、ベレッタのセーフティを解除した。
ったくほんと、いつもバカみたいに撃つよね来島は。
一瞬止んだ銃声を聞き逃さず、私はサッと立ち上がり狙いを定めた。
ダンッダンッ!!
来島の操るリボルバーとは違う重厚な音が甲板に響き渡る。
狙った先は来島のリボルバー。来島の手からリボルバーが弾き飛ばされ、グルグルと空中を旋回すると
ゴトンと鈍い音をたてて床に落ちた。
撃たれた反動の痛みで顔を歪めていた来島だったけど、すぐさま悔しそうに唇をかんで睨みつけてきて。
「っ・・くそっ・・・ッ・・」
「はい、終わり。私忙しいの。
非番だけどやること(遊ぶこと)たくさんあるの。じゃあね猪女」
傍観してる高杉達なんかに目もくれず、私はタンと床を蹴って船を下りた。
のんびりと町へと向かう私の背後に、来島の怒鳴り声が響いた。
「!!この勝負まだ決着ついてないからな!!次こそ仕留めてやるッス!!」
なんの勝負だなんの。
「ただいまー・・・」
「おう、帰ったか・・・・ってどうした?」
屯所の玄関をくぐった瞬間、私は疲労感露に上がりへとぐってぇ〜とうつ伏せの大の字になる。
そこへちょうど通りかかった土方副長が返事をしてくれたけど、私の姿を見て驚きの声を上げた。
「疲れたぁ・・・非番なのに疲れたぁ・・っんと来島の奴めぇ・・」
「マヨネーズ不足なんじゃねえの?」
「マヨネーズなんざなくても生きていけます、ないと生きていけないのはあんただけだこのマヨラー」
「んだとてめぇ!!マヨネーズ馬鹿にすんなぁぁぁ!!!・・・って来島?あの鬼兵隊の腹出し女か?」
「うぃー」
うーんと目を細めながら手をあげて答える。
港での話をしたら、呆れたように笑ったよ土方コノヤロー。
こっちは散々な目にあったっつーの!!くつくつ笑う副長におもいっきり頬を膨らませて
みせたら、悪い悪いと手をヒラヒラさせられ。あ、絶対悪いと思ってないなこの人。
「っとに何だろあいつ。私が何したってんだよぉ〜」
「何、お前自覚ねえの?」
「ほぇ?何が?」
意外そうな副長の声に、ちらりと顔を上げれば呆れた顔。
え?え?私が原因なの?
?マークを飛ばしている私に「本当無自覚だなお前」とさらに呆れられた。
う・・なんかムカつくぞ。
「まぁ・・鬼兵隊の幹部が真選組に助けられるなんざ・・
屈辱この上ないことだろーしな」
「うえ?助けた?来島を?」
「何お前本当に覚えてないのかよ・・ほらっ才華屋の時の」
「・・・・・あーあー・・思い出した・・・ってあれ来島だったのぉぉぉ!!」
「お前なぁ・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
才華屋
そう、あれは高杉率いる鬼兵隊が潜伏しているとタレコミがあって
襲撃した時のことだ。
刀よりも銃器に長けていた私は後方で援護に回っていた。
激しい斬り合いとなり、爆弾もいくつか爆発してあたりは一瞬煙に覆われた時だった。
「きゃあぁっ」
庭園の方から高杉達がいるという座敷へと標準を定めた時だったけ?
湯上りなのだろう浴衣を着た女の子が、爆弾の爆風で私が隠れている方へと
吹き飛ばされてきたんだ。
咄嗟にその子を抱きとめると、茂みの中へと飛び込んでその子を下ろした。
「大丈夫か?!」
「う・・・ありがとうッス・・・!!っし・・真選組っ・・・」
女の子は頭を抑えていたけど、大丈夫そうで。
顔を上げた女の子は私の着ている服を見るとひどく驚いた顔をした。
まぁ・・真選組はあんま評判よくないし・・・
私は大して気に止めずに裏からその女の子を逃がしたんだっけ?
・・・・・・・・・・・・・・・・
「えーでもあれはさー・・あの時の情報では来島の情報はなかったじゃんー
河上と武市しかデータあがってなかったんだもん。わかるわけないよー」
「まあな。でもあの女からすれば耐えられなかったんだろ」
「くうー逆恨みもいいところだー」
のそのそと体を起こしむくれてると、「まー同じ銃使いというのもさらに恨みを
買う要因になったんだろーよ」といわれてしまった。
「いいところにいやしたねィ」
「あ、総悟」
「お前またサボってどこ行ってたんだ」
草履を脱いでると、一応上司の総悟がのらりくらりと帰ってきた。
副長の態度からするとまたさぼっていたらしい。この人もほんと相変わらずだよ。
総悟は土方さんの問いには答えずに、ニヤニヤと私に文らしきものをつきつけた。
「今さっき届きやしたぜ」という総悟から受け取り宛名を確認・・・・
「うわ、いらねぇ」
おもいっきり顔を顰めてやれば、両サイドから副長と総悟が文を覗いてくる。
「・・本当に恨まれてんのな」
「おうおう、早く読めなせェ。場所は何処でィ」
「なかった。
この憎々しい感露な毛筆で書かれた「果し状」なんて私は受け取らなかった。
さあ捨てようか破り捨てようか燃やそうか」
「なんでィ読まねーのかィ」
「読みたきゃどーぞ」
はいと総悟に来島からの果し状を押し付けると、のそのそと自室へを向かう。
が、ガッシと副長に腕を掴まれてしまった。
面倒くさ気に振り返れば、副長は私の腕を掴んだまま総悟が開く果し状を覗き込んでいる。
「拝啓、コノヤロー。
明後日の正午、河川敷にて勝負されたし。
獲物は無論銃二丁。
すっとぼけたらマジ殺すッス 来島また子
だってよ。」
「行かない知らない面倒臭い弾の無駄遣い」
じゃっと再び踵を返そうとするんだけど・・・何この人!!腕を放してくんないんだけど!!
「副長・・腕放してくんない?」
「。お前何回来島との果し合いすっとぼけた?」
「へ?・・・・んーと6回かな」
なんかキラリと目が光ったような気がするんですけど;
総悟もなんかなんか・・ニタリと笑ってるんだけど;
「そろそろ決着つける時じゃねえの?」
私の腕を掴んだままニヤリと見据えてくる副長に思わず背筋が凍る。
「え・・だって法度で私闘は切腹って」
「敵前逃亡も切腹だ」
ぴしゃりと言い放たれ思わず固まる。
「副長命令だ。戦い来島を捕らえろ。無論生死は問わねぇ」
そして、果し合いの日私は河川敷にいた。
「赤コーナー!!!過激派攘夷集団鬼兵隊の紅き弾丸!!
来島また子ぉぉぉぉ!!!」
向こうのベンチで歓声が上がる。
「青コーナー!!幕府特別武装警察真選組の流水の舞姫!!
ーーーーー!!」
背後のベンチで歓声があがる
って
「なんなの、このお祭り騒ぎわぁぁぁぁ!!」
果し合いつったらさぁ!!
こう草玉が転がってー廃れた空気が漂ってーみたいな?
コインを投げて落ちたらホルダーから銃抜いて緊張の一瞬!!
えーまー、来島との決闘なんかバカらしくてずっとすっ呆けてたけどさ
いざ挑むからにはそれ相応の空気っちゅーもんが欲しいじゃん?!
副長も来島の生死問わないって言うくらいだもん。
もっとこうぴりぴりした空気が漂っていてもいいんじゃないの?!
なのに
なにこの空気っ!!
なんで鬼兵隊と真選組総出で見物に来てるの?!
しかも隊服着てるの私だけじゃん!!何皆非番になってんだよ!
って何この屋台の多さ!!あれ、長谷川じゃん!!今度はじゃがバターの店かよ!!
なんか万事屋もいない?!なんかバカ皇子もいるよ・・何あの抱えている変な生物!!きもっ!
うわっ高杉の奴焼き鳥なんか食べてるし!!酒飲んでるし!!
顔赤くしてるよあのテロリスト!!
何ちょっとこれって捕らえる絶好の機会なんじゃないの副長ぉぉ・・・って何こいつらぁぁ!!
局長チョコバナナ貪ってるしぃ!!副長お好み焼きっていうよりそれ、もうただのマヨネーズゥゥ!!
総悟なにそのお面!!ザキにハゲェェ!型抜きにはまりすぎだろー!!
こいつらただ単に祭り楽しみたかっただけじゃん!!!
一気にやる気マイナス値にメーターが下がる私に、意気揚々とした来島。
あーもうほんと嫌ー・・・。
「ふふんっやっと観念したっッスね!!こうギャラリーが多くては
貴様も逃げられないッス!!」
逃げたら一生恥が付き纏うッスよ!!負け犬のね!
「さあ銃を抜くッス!!今日こそ決着つけてやるッス!!」
あーもうこうなったら成る様になれだコノヤロー。
息を深く吐き出してホルダーから愛銃を握り締めて抜いた。
「河上先輩!!合図をお願いッス!!」
「承知したでござる。位置についてー」
「リレーじゃねぇよ!!このグラサンがぁぁ!!」
「おっおっどうしたのじゃ?ジョセフィーヌ?・・ぎゃー!!余のジョセフィーヌがぁぁぁ!!」
「「うるせー(ッス)よ!!バカー!!!」」
さっさと星に帰れ!むしろお前が星になれと言ってやろうとバカ皇子へと
向いた瞬間、がこんと顎がはずれそうになった。
来島も固まっている。うん、無理もないと思う。
だって
だって
巨大な蜘蛛の群れがっ!!
「おージョセフィーヌが巨大化したうえに分裂したぞよー!!!」
だれか黙らせろあの未発展生物!!
蜘蛛のも群れは四方八方に広がり、屋台や観客たちへと襲い掛かっていった。
騒然となる河川敷にすぐさま反応したのはやはり
「全員刀を取れぇ!!怪物を町に行かせるな!!」
我ら真選組。皆一斉に刀を取り出すと蜘蛛へと斬りかかって行く。
私もさっと身を翻すと銃口を屋台を襲い始めた蜘蛛へと狙いを定めた。
来島も鬼兵隊もすぐに体制を整えて蜘蛛へと飛び込んでいく。
ダンダンと狙いを定めて蜘蛛達を撃ち抜く。
真選組・鬼兵隊・そして万事屋が入り混じっての乱闘はなんとも奇妙な光景に
見えるけど、今は悠長に感想を述べている暇なんてない。
と、一匹の蜘蛛がこちらに向かって突進してきた。
他の蜘蛛に比べて二周りも大きい。これが元のジョセフィーヌか?
真正面から数発撃ち込むがびくともしない、クッと避けてさらに撃ち込むが
まるで鉄に撃ち込んでいるように表面にめり込むだけだ。
蜘蛛が来島に狙いを定めを変えて突進していく。
奴も同じように撃ち込むが結果は同じ。来島は舌打ちをすると私の方へと転がり避けてきた。
「なんスか!!あいつ!!全然弾が貫通しないッス!!」
「あれも宇宙生物かっ・・・げぇ;来た来た来たぁ!!!」
向きを変えて再び私達に突進してくる。私と来島は左右に避けると同時に
蜘蛛へと銃弾を打ち込んだ。瞬間、一発の銃弾が堅い表皮と表皮の間に命中して
蜘蛛が不気味な声を上げる。それを見逃すはずがない。
「来島!!!」
「わかってるッス!!」
私と来島は体制を整えると、銃を撃ちながら蜘蛛の回りを走り出す。
狙うは表皮の間と目だ。
新たに弾を詰め込みながらも足は止めず、絶えず銃弾を撃ち込む。
そして、その巨体はやっと動きを止めて動かなくなった。
辺りを見渡せば、真選組も鬼兵隊もボロボロになっていたけど
なんとか皆無事で。
ふうっと安堵の息を吐き出して銃をホルダーに納め顔を
上げれば、来島と目が合った。
まっすぐ睨みつけてくる様に、私もじっと来島を見つめ返す。
と、二人して笑った。
「流石はッスね。その腕鈍らせるんじゃないッスよ。
あんたを仕留めるのはこの来島また子だけッスからね!!」
「ったく本当猪だなお前。まああんたならいつでも相手になるわよ?」
その後の後始末は当然真選組に任され、来島と鬼兵隊の面々は
いつの間にか姿を消していた。
後始末はとても面倒くさくて、いまだに気絶かましているバカ皇子をとりあえず殴って
おいたけど、なんだか妙に心は軽かった。
その日は帰屯も遅くなり、深夜にやっとお風呂に入るとすぐさま寝入ってしまった。
敵同士の来島との付き合いがさらに続くなんて、このときはちっとも思ってなかった。
まして友だちと呼び合うようになるなんて・・・
その話は・・まあ機会があったらまたどこかで。
「ー!!!勝負の続きッス!!!」
「お前何時だと思ってんのぉー!!こっちはへロヘロなんだよこの猪女ぁぁぁ!!」
やっぱこいつは苦手だ。
初また子夢!!また子ちゃん書いててすごく楽しかったです。
また、また子ちゃん夢書けたらいいなあ。
また子ちゃんの使用している銃器は明記されてないけど、絵を見れば一目瞭然のリボルバー。
対するヒロインもライバル性を強くするために銃使い設定にしたのですが、その銃も世界中の警察・軍で
使われているというベレッタにしてみました。
ちなみに画像の銃はベレッタじゃないです;すいません;これしかなかったの。
まだまだ銃器に対しては勉強不足で、詳しいことまで書けなかったのが残念だけど、
またこの設定で別のお話が書けたらいいなと思ってたり。ほらダーティペア世代だから
憧れだったからダーティペアv。
2007年7月3日執筆