トントントン


トントントン


トットットットットントントン








え、三三七拍子?

























+Princess more than Princess  6+


























一瞬躊躇した後、銀時の言葉にはいきさつを話すことにした。

もちろん自分の身分を隠してだ。

反逆者カザギの事、アクエリアと京というの都に危機が迫っていること・・・
銀時は黙っての話を聞いてくれた。
とにかく時間がない、明日には兵器はアクエリアに向けて出発してしまう。
の話を聞き終えた銀時はしばらく何か考えているようだったが、すぐに腰を上げた。


(ちょっくら出てくるわ。
ちゃんは少しでも体力を戻すために寝てなさい。)




反論するも隙もないほどにあっというまに布団に押しやられ、
縋るようなの表情にフッと銀時は優しく笑う。


(明日朝っぱらから動き回ることになるんだから、寝ときなさい。
これ、銀さん命令)


銀時が出かけた後、布団をかけ直し目を閉じると疲労が溜まっていたのだろうか
すぐに意識を手放してしまった。













トントントン


トントントン


トットットットットントントン



屋根の方から聞こえる軽快なリズムに目を覚ませば、あたりはすっかりと暗くなっていた。
銀時はまだ帰ってきてないらしい。上半身を起こして天井を見上げる。
しばらくしてまた






トントントン


トントントン


トットットットットントントン



綺麗な三三七拍子。






「ガキ共二人がいねー平和な昼下がりにさ、パフェ天国なドリームトラベルをしてたのよ銀さんは。
それをオメー、人んちのチャイムで完璧なまでの三三七拍子を連打しといて覚えてねぇ?」




先ほどの銀時の言葉が脳裏を掠めて、ハッとして顔を上げる。
チャイムを鳴らしたのも、また応急処置を施したのも自分ではない。
体を起こすとまだ少し腹部が痛んだが、そんなことにかまっていられないといったように
窓を開けて、スルリと屋根へと飛び上がった。








「あ・・・」


「謝礼はアクエリアの酒でいいぜぇ?女」


「・・・はぁ?」


音も立てずに屋根へと飛び移るとはゆっくりと目を見開いた。
こちらに背を向けて座っているが、派手な着物と低い声。
間違いない、港で会った男だった。
突然放たれた言葉に呆気に取られていると、男が少し不機嫌そうにこちらへと振り返った。


「てめぇ・・わざわざこの俺がここまで運んでやったってーのに礼もしねぇつもりかぁ?」


「う;・・いや;・・もうっちゃんとお礼させてもらいますっ!!最高級を贈らせていただきます;;;」


ぶんぶんと首振って見せると男は「よぉし」と頷いて、またこちらに背を向けて煙管を吸い始めた。
と、思い出したように煙管で自分の横を指し示し「座れよ」と促す。
傷口を気にしながら促されるままに横に座ると、は男の顔を見上げた。


「助けてくれてありがとうざいます。高杉・・晋助さん?」


「はっ、だから礼は酒でいいっつってんだろーが。それに助けたわけじゃねえ。
・・・・・俺を知ってたか」


煙を吐き出しながら笑った高杉だが、一瞬の沈黙の後鋭い視線をに向けた。
今度はその視線に怯むことなく、こくりと頷いてみせる。


「港で会った時は一瞬でしたのでわからなかったけど・・。
アクエリアはある問題からそれに関する情報を集めていた。
その過程で高杉さんの鬼兵隊も浮かび上がってきた。
こちらも星の存命がかかっているので、どうしても知る必要があったんです。

・・・・と、いくら焦っていたとはいえ剣を向けてしまった。
本当にすまなかった」



そう高杉へと向き直り、深く頭を下げるに少し目を見開くが
すぐさま特有の笑みを浮かべる。







「てめーらの星がどうなろうと知ったこっちゃねぇーんだがな。
獄楽園のやり方はどうも気に食わなねぇ。
まっ他にも理由があるが・・てめーに言う義理はねえ。」





京には・・あそこには死んでいった多くの仲間が眠ってんだ





一瞬高杉の横顔に憂い染みたものが浮かんだが、それはすぐさま消えて不敵な笑みが
高杉に妖艶さを彩る。






「しかしなぁ・・アクエリアの側近がこんなガキみてーな女だとはァ・・」



ニヤニヤと見つめてくる高杉に一瞬きょとんとするも、すぐさま頬を膨らませて
睨みあげた。
「ガキ言うな!!」と口を尖らせるも、その行動がさらに子供っぽいのか
クツクツと肩を揺らし笑われ。さらにポンポンと頭を軽く叩かれたらだって
黙っちゃいない。



「〜〜〜〜っ何さ!!高杉だって年齢にそぐわない童顔じゃない!!!」


「童顔言うなぁぁ!!」


「!!気にしてたの?!気にしてたんだvvvあはーごめんねーvv」


「てめぇ・・・・・」



の言葉に今度は高杉が声を荒げてケタケタと笑い出す。
まだ痛みが残る腹を抱えつつヒーヒー笑うを睨みつけると、舌打一つして
コンッと煙管の灰を捨てた。



「ちっ、無駄な時間食った。俺は行くぜ、あとは銀時がなんとかするだろ」


サッと立ち上がる高杉にも慌てて立ち上がる。
踵を返そうとする高杉を止めようと口を開くと同時に、背後からのったりとした声がかかった。



「おーちゃんここにいたのぉー」


振り返れば屋根下からひょっこりと顔を出している銀時。
と目が合うとにっかりと笑って、高杉へ視線を移す。



「おいアホ杉ぃ、オメー人ん家のチャイムで華麗なリズム奏でてんじゃねーよ
三味線じゃねーんだから」


「うるせぇ、パー


「パー!!それあれか俺の髪がパーなのか?それとも頭がパーっていいたいのか?!」


「両方だくるパー。それよか言った通りにしてきたのか?」


「うーせーうーせ!お前に言われなくたって銀さんはちゃんとちゃんを
エスコートしますぅー。
おめーコレでこの間の件なくそうたってそうはいかねぇからな、
銀さんまだ怒ってんだよ?わかってる?
ちゃんの危機だからお前の言うこと聞いてあげたのよ。
そこらへん履き違えんじゃねーぞ」


「じゃあな


「俺の話聞けぇぇぇぇぇぇ!!」



ふわりと軽い足取りで屋根から路地裏へと飛び降り消え去った高杉に、
銀時の怒鳴り声が近所に響く。
二人のやりとりには声かける間もなく、ただ呆然と高杉が消えていった下を
眺めていたが、銀時の深い溜息にハッとして銀時へと振り返った。



「銀ちゃん・・あの高杉と知り合いだったの?」


「ん?あー・・なんつーの?幼馴染的な?・・・ね
と、のんびりしてる暇ねーんだ。ちゃん降りてきてくんない?
会わせたい奴が来てるんだわ」


「あ・・うん」















居間へと降りるとも見知った二人がいた。

「あぁ!!さん無事でよかった!!」

「銀ちゃんから聞いたね、ちゃんを陥れるなんて野蛮ヨ!」


の姿を見とめるなり、駆け寄ってくる新八と神楽ににっこりと笑うと、
もう一人、ソファで静かに座っている男へと視線を向けた。
その男は見たことがある、いや正しくは資料でだが。


「桂・・・小太郎・・・・」


驚き呟くに、桂小太郎は軽く目礼をした。



















最近ガーッと書き込めなくなってしまい、なんだかとっても短い話が続いてます;
本当は前作と合せて一話だったんですけどね・・・。
次回からガツガツと立て込んできます。たぶん・・(ヲイ)

2007年8月8日執筆