「ねえ、様ぁ〜。あのお話もう一回して〜!!地球でのお話!」


「こらお前達!!姫様はお疲れなのです。家に帰りなさい!!」


「だってぇ・・すーっげえおもしろいんだもん!!ねぇいいでしょ様ぁ〜!!」


「私、万時屋さんのお話聞きたいのっ」


「俺は真撰組!!かっこいいよなぁ!!俺も大きくなったら絶対警察官になる!」


「ばあーか!アクエリアには警察なんてねーよ!!」


「なんだとぅ!」



「はいはい喧嘩やめろ〜。しゃーないねぇ・・・・」



「「「「「「わーいvvv」」」」」




























地球−会津生まれのある星の皇女が地球へ来日。





それが大冒険の幕明けだった。
















時折届くメールには、優しさと笑い。時には切なさもあり


時折電話越しで話をすれば、君達を身近に感じずにはいられない










銀ちゃん


トシ


神楽ちゃん


総悟


新八


近藤さん


退


定春





エリー




そして




高杉




私は短期間の地球滞在でたくさんの友だちと巡り会えたんだ。















































+Princess more than Princess+





















「それでは現場の結野さーん?」









[はいっ現場の結野です!!
ここ世界の中枢ターミナルに間もなく、間もなくです!!
アクエリア星皇族第一皇女−アクレシア様の船が到着する模様です!


アクエリアは江戸開国5年後、まだ未開発だったアクエリア星に勅使として渡った会津藩・隠密一行が
築き上げた星で、現在は水の惑星として地球との貿易、主に水産業面で行き来が行われている星です。
現在の皇帝は 伍八郎様。当時は藤田と名乗り会津藩に使えておりました隠密頭で、
今回来日されましたのは、皇帝の第一皇女ーアクレシア様でございます。
アクレシア皇女は五歳の時アクエリア星に移られましたので、こちらでの記憶がほとんないとのこと。
今回はメインの地球水質問題改善などのシンポジウムに加えまして、20歳になられました御記念にと故郷である
会津視察もスケージュールにあるようです。]














「銀さん、テレビを見るかジャンプを読むかどっちかにしてくださいよ」


「何新一君。今のこのご時勢はね、二つのことを一度にやれる技量がないと
世の中渡っていけないよ?あ、冷蔵庫からイチゴ牛乳とってきてくんない?」


「ただ単にだらけてる親父じゃねーか!!つーか俺新八だっていってんだろーがぁぁ!!」


「能無し眼鏡黙るアルヨ。テレビの音が聞こえないネ」













「同じ人間が開拓した星か・・・エリザベス、攘夷を確実に成し遂げるためにも
この皇女の意見を聞いてみたいものだな」


[桂さん、ずいぶんと丸くなりましたね。以前の貴方ならすぐに何か起こしていたのに]


「フッ・・・そうだな。それだけ今の江戸に慣れ親しんでいるせいか」










「晋助様ァッ!!テレビ見てくださいッス!!例の星の奴らッス!!」


「ククッ、来やがったか」






















[第一皇女の来日ということもあり、幕府は厳重な警備の下・・・・あ!船が到着した模様です!]














召喚接続部に鋭い光が発し、思わず目を細めた。
地を這うような轟音とともに、エメラルドグリーンの船体が姿を現す。
滑らかな楕円形の形の船は、今まで見てきた多くの船とよりシンプルですっきりとした印象を受けた。


[この前は船体にアンコウの触覚みたいのがついてたし、いつだったかは派手な色彩でターンライトまで
ついていやがったか・・あの星の奴のセンス、服からしてぜってえやべえよなあ・・・]


そんなことをぼんやりと思い返しながら、俺は改めて着陸態勢にはいる船へをしみじみと眺めた。
全体をあらわした船は本当に良いデザインで、宇宙船などに興味のない俺でも好感を持たずにはいられねぇ。
ズンッと船が止まる音がすると同時に、ハッチがゆっくりと開く。
完全に開くと同時にバラバラと軍服を着たアクエリア人が蜂の子を散らしたように出てきた。



[あれがアクエリアの軍隊か・・・]


アクエリアは軍を主体にした星であると、先日警備につく際に渡されたアクエリアの資料を思い返した。


15年前、地球人が開拓したアクエリア。
先住民のアクエリア人とは争いを起すことなく共同して星開拓を行い、
今では多くの星と貿易をする実業星のひとつとして有名となっている。
それと同時に設立された軍隊。
この軍隊は星の自衛として設置はされてはいるのだが、ほとんどが国の工事や
未開拓地の開拓作業などが主な仕事であり、地球の軍とは少し違った形態だった。
アクエリア人は地球人と姿かたちは大差ねぇが、その瞳は透き通るようなエメラルド。
俺は何気なくアクエリアの軍人を見やった。
十数人の兵隊の半分がエメラルド色だ。黒や茶色の色をした軍人もいるがそれはおそらく
地球人かハーフか。なるほどアクエリアは内戦がない星としていままでやってこれたのは
軍にいや軍だけでなく星の中枢機関に人種関係なく受け入れているからか。




ハッチから俺達がいる入国管理局などのお偉い方が待機する場所まで軍人の道ができる。
並んでいる軍人の中に頭と思われる軍服を着た男がハッチに向かい膝まづいた。
その男はがっちりとした体格をしていて、短く切り刈られた黒髪がさらにそいつを強靭にしていた。
奴もアクエリア人なんだろう。鋭い細めの目は深いエメラルドが輝いていた。

あ、船の奥から誰か出てきやがった。3つの人影。
左後ろにひょろりとした白髪交じりの男、右後ろには長い髪を高い位置でひとつに結わえた女。
そしてその間手前にエメラルドグリーンのローブを纏い、フードですっぽりと顔をかくした人物・・


[あれが第一皇女アクレシア姫・・か」


理由は定かじゃねえが、皇帝の子供達は国民にすら決してその顔を出さないという。
人前にでる祭典などがある際は必ず、アクエリアのシンボルカラーでもあるエメラルドグリーンのローブを
纏い、フードですっぽり顔を隠して列席するんだと。
んな顔も見せられねえ酷い顔してんのか?つーかそんなんでよく国民の支持を得られるよなぁ。
俺だったら顔も見せられねえ奴なんか信用しねえっつーの。
異様っつーったらそれまでだが、纏っているローブの色はとても美しいもので、施されている装飾も品があり
嫌味も感じない。顔は見えずとも不思議とその姿に尊重の念がこみ上げてくる。
皇女が姿を現したと同時に、出迎えのホールから歓声が沸き起こった。
フードで隠れてはいるが左右へと顔をやり手を振っている姿に


[あぁ、きっと笑顔なのだろうな」


そう考えながら、姫の後ろで控えている初老の男と若い女へと視線を向けた。
おそらくあの二人が姫直属の部下。
軍人達そしてその頭であろう将軍とはまったく違う黒いロングコート。
不機嫌ではなさそうだが、真剣な表情で歓声をあげるホールへと視線を巡らせてた。
まあ、いつ攘夷派の連中が襲ってくるかわからねえんだし、こういう時って格好の瞬間だもんなあ・・・。
二人の瞳は黒。所持する武器は忍びが主に使用する刀を男は背中に交差するように二本、
女は腰の後ろで同じように交差するように二本携えていた。
アクエリアに向かったのは会津隠密の集団っつてたから、男はその時の一員か。
女の方は・・・ありゃぁどう見ても17〜8じゃねえ?・・多く見積もっても20歳そこらだろ。
っつーことは当時はまだガキで、隠密の中の・・誰かの子供か。
観衆に答えながら姫とその側近の二人がこちらへと向かってくる。なぜか俺は自然に背筋を伸ばしていた。
俺の隣には近藤さん。そして一歩あけて後ろには総悟をはじめ隊士たちが整列している。
俺達真撰組の前には松平とっつあんや幕府の上方の人間。
姫は幕府の連中といくつか言葉を交わすと、とっつあんと俺達の方へと足を向けてきた。
視界の隅で近藤さんがが緊張したように背筋を伸ばす。



「姫様が滞在される間は、アクエリアの軍隊とともにこの真撰組が警護に当たらせていただきます」


とっつあんの言葉に一斉に敬礼する俺達。
その様子にお姫さんは満足したのだろうか「よろしくお願いします皆さん」と軽く会釈をした。
まるで鈴を転がしたような声だ。けっこうかわいい声してんじゃん。
顔見てみてぇな・・隠されると余計見たくなるもんだよな・・・
側近の男は俺達を見やって「ほうなかなか腕が良さそうですな」と呟いている。
おっさん、あんたの目は確かだぜ。女の方は表情が読み取れない顔で俺達のことを見ていた。
この女も相当腕がたちそうだな。容姿もかなり美人の域に入る・・・ってな何考えてんだよ俺;


観衆の熱も冷めぬまま、俺達は姫が滞在するホテルへと向かうため踵を返した。
ふと、姫が側近の女の袖を引いているのを見つけて、なんとなくそれに釘付けになる。
女は姫に膝まづいて何か耳打ちされていた。なんだ?
次の瞬間女は小さく吹き出し、男も気になるように姫へと屈み同じように耳打ちされて
小さく笑った。
なんだ?
何かおもしろいことでもあったのか?
瞬間、側近の女と目がった。やべっ見すぎたか?!
そんな焦りが体中を駆け巡る、相手は皇族だしな;やっぱやべえよな;
だけど俺の焦りは無意味に終わった。女は軽く微笑むと俺に浅い会釈をする。俺も同じように返すと
すこし足早に近藤さんの後を追った。




















「まったくねぇ、なーにいきなり(真撰組ってかっこいい人達ばかりですわねv)
なのよヘルガちゃん?」


「だって、姫もそう思われませんでした?」


「・・・まぁね、3列目にいたでっかいハゲは体力あって強そうだなぁと思ったけどさ」


「えっ視点そこですの!?普通もっと手前見ますわよね?!あの局長と副長に。
公務面でもやっぱりあの二人だけは覚えておかないとですが、かなり容姿もよかったもの、目がいったでしょ?!」


「やっば;顔覚えてないワ;」


「あなた何しにきたのー!!姫ー!!」


「いやぁ;ヘルガちゃんが覚えてればそれでいいかな?って?」


「あんた、姫様やる気ありますか?!仕事するつもりありますか!?
っつーかなにその人差し指付きウィンク!何かすっごい腹立つー!!」



真撰組の車に囲まれて滑るように走る黒のリムジン。
その中で繰り広げられている姫と側近の女のやり取りに、運転をしていた側近の男は小さく笑った。



「姫のことですので、そうだろうと思い護衛につく真撰組のファイルを用意しました。
全員とはいいませんが、やはり局長と副長の名前と顔だけは一致させて置いてください」


「はいよぉ。やっぱり源慈之介は心得てるねー」


そういって、女は助手席シートの裏からファイルを取り出す。
身を乗り出すようにローブを着た女が覗き込む。


「えっと?局長が近藤ね。で、副長が・・・・・・







どかた?





変な名前だわなー」




「姫。それはひじかたです」


「・・・・・・はいっ。覚えた覚えた」


「本当ですの?姫?」



怪訝な顔で覗き込んでくる側近に笑いながらヒラヒラと手を振ると、パラパラとファイルを捲る。
黒コートに髪を高く結わえた女− は楽しげにファイルを捲りながら隣にいるエメラルドグリーンのローブを着た
側近に声をかけた。


「まあ、ヘルガちゃんも覚えておいてよ。まあ、ほとんど私と源慈之介が出張っちゃうと思うけどさ」


「姫・・・・あのここまできてなんですが・・今回はやはり私が」


「いいの!いつもやっていることでしょ?それにヘルガちゃんは生粋のアクエリアっ子!
もし密偵に出た時に過激派・・えっと攘夷志士っていったけ?それに襲われて怪我されたら
私の身がもたないってーの」


嗜めるように不安そうなローブを纏った少女の鼻をつつく、アクエリア人特徴のエメラルドの瞳が微かに揺れた。



「しかし、姫。今回はいつもと事が違います故、くれぐれも用心なさってください」


「あぁそうだね」


バックミラー越しに源慈之介の顔が険しくなるのをみやるとはふうっと溜息を吐き出した。


「アクエリア皇帝の子供がなぜ姿を現さないのか皇名がなぜ偽名なのか・・それがすべて影であり、側近が実子で
密偵に携わっているなどと奴に知られるのは絶対避けたい。
そうだ・・奴の尻尾を掴むまで絶対にな」


「隠密家系にしか為せぬものです姫。ヘルガよ、お前もくれぐれも奴に悟られぬようにな。
姫が出る時は必ずはわしが着くが奴も軍人だ、何かと鼻が利く。
姫のためにアクレシア皇女をしっかり演じきるのだぞ」


ローブに身をつつんだ女ーヘルガは力強くを頷くと、隣に深々と腰を下ろす黒コートの女、
いや、自分が仕える姫へと視線を向けた。



「ネットワーク系統は私が引き受けます。すでにいくつかの組織がかかりましたわ」


「よぉし、明日から忙しくなるぞ。覚悟しといてねvヘルガv源慈之介v」


「「承知」」




やがてリムジンは護衛の車に囲まれて大きなホテルへと門をくぐっていった。






「ところでさぁ?源慈之介よ、なんかこのファイルどーでもいいことも書いてあるんだけど?
何このマヨネーズ好きの瞳孔半開きって?ミントンかぶれにドS破壊王?
っていうかマヨネーズって何?ミントンって何?」


「それは姫の夫になり得る殿方の資料です。そろそろ姫様にも身を固めていただかないと」


「え、それをここから選べってか?ちょっいいの?私の未来けっこう簡単?淡白すぎない?
いやだよぉ。私まだそんな気はないから。ていうかマヨネーズって何?ミントンって何?」


「この滞在で将来の夫を掴んでこい。これが皇帝・皇后両陛下より仕りましたこの源慈之介の
もうひとつの仕事。姫!かならずこの滞在で夫を探しますぞ!!
で?どうですかな?そのファイルに好みの殿方はおりましたかな?」


「まじでか?ちょっ父上母上も厳しいーなおい。
だからねマヨネーズってなに?ミントンって何?」


「姫の婚約者v♪姫の婚約者v♪」


「いや、歌わなくていいからヘルガちゃん」


「次期皇帝候補!候補ぉ!!

「おめーはうっせぇよジジィー!っつーかマヨネーズって何って聞いてんだろうーがぁ!!」




「婚約者ー!!」
「皇帝候補ー!!」





「うるせぇぇぇぇぇぇ!!」















リムジンから出てきた皇女達をホテルのエントランスに並び出迎える。
なんだか側近の女が妙に疲れた表情をしていて、表情は伺えないがどこか楽しげな足取りの
姫と側近の男の嬉しそうな顔に、思わず俺と近藤さんは顔を見合わせた。



















やっちゃったとうとうやっちゃった;
話の流れはシリアスだけど、各話ギャグにしていきたいと思いまっす!
よって糖度はないと思ってくださいvいやパフェとか団子とかの糖度はあるかも?
また特殊設定なんで第一話は設定の説明みたくなっちゃいやした;
半土方視点です。5〜6話の連載予定で真撰組はもちろん万事屋に桂、高杉も
バンバン出したいななんて!欲張り!

2006年12月31日執筆