「お花見?」
「あぁ、大勢で出張るわけにはいかねえから、俺と三浦・・あと芹沢だけなんだけど、どうよ?」
+桜大戦+
休憩室のソファで、捜査一課の伊丹と鑑識課の は、向き合うように腰をおろしていた。
両手で包み込むようにココアが入った紙コップを持ちながら、にぱあと表情を明るくするに、
内心ドキドキしながら頷いてみせる。
「うん、ぜひ参加させてもらうね!」
「おっおう!////」
まるで桜の花のように明るく、可愛らしいの笑顔に頬が急激に熱くなるのを感じ、
それを隠すように伊丹は一気にコーヒーを飲み干した。
今年の桜は気候に恵まれ見事に咲き誇り、週末になると桜見物で桜の周りには多くの人が花見へと繰り出す。
伊丹からの誘いは平日の、昼食を兼ねてのものだったが、最近室内に篭りっぱなしだったにとっては
とても待ちどおしいものになった。
誘った伊丹の方も、の快い承諾に嬉しさが隠せないでいた。
鑑識課の といえば、本庁の者なら誰でも「あぁ」と手を叩くであろう。
長く黒い髪をサッとシンプルにまとめて、凛とした涼しい顔立ちに遺留品の鑑識をする
その仕草一つ一つがとても魅力的だと男女問わずに慕われている。
また、さっぱりとした性格も魅力の一つと言えよう。
「って、なんだこりゃあ・・・」
(そうだ。俺は三浦と芹沢、それににしか声かけてねえっ!)
スケジュールに赤丸印までつけて楽しみにしていた花見当日。
伊丹は顔を引き攣らせながら、目の前に広がる光景に呆然となった。
その隣でも驚きに目をしばたかせている。
伊丹が花見場所にと決めた桜の下には・・・
「おう、来たかい」
悠々と酒を口へと運びながら伊丹へ手をあげ呼んだのは、あの瀬戸内だった。
「遅かったじゃねーか伊丹君。おっ君もきたかい。いやーやっぱり花があるといいねー」
「瀬戸内さん、発言がオヤジですよ。ん、ちゃんそのバスケットは何かな?」
ガハハと笑い飛ばす瀬戸内の横では、涼しい顔をした小野田が瀬戸内を窘めながら、の手にしている
バスケットに素早く目を光らせる。
「あ・・お弁当なんですけど・・」
小野田に促され、ハッとしたようにバスケットを持ち上げた瞬間、手に残るバスケットの重みが一瞬にして消えた。
驚きに目を見開くの前に立ちはだかった男はからバスケットを取り上げ、嬉しそうに中を覗いている。
「うひょー!うまそうっすよ!!右京さん!!」
「それは楽しみですねぇ」
「さんの腕は確かですよ。鑑識課同僚として保障しますから」
そこには本庁では見慣れた亀山と杉下、そしての同僚である米沢が楽しげにバスケットを
覗いてる。見慣れた面子に見慣れた光景。
しかし、今この場所では随分と疑問が残る面子である。
その証拠に三浦と芹沢は顔を顰めて、いまだ呆然と立ち尽くしている伊丹を見つめていた。
亀山たちに聞こえないように三浦へと屈み込み、声を殺して悪態をつく。
(おいっ!どういうことだよこれは!!)
(俺もわかんねぇよ;)
(来たらすでにいたんですっ)
「おいおい〜伊丹〜早く食おうぜ!」
ひそひそと話す三人の上からのん気な声が降ってきて、伊丹は口をひくつかせながら声の主を
睨みつけた。へらへらと腕を組み見下ろしている亀山の胸倉を掴み、力ずくでしゃがませると
声を殺したまま亀山を睨みつける。
(なんで、てめえらがいるんだよ!!)
(ほう〜んvおまえ、捜一トリオにまぎれてを誘い込んだろv)
(なっ!ちげーよ!!さんにはいつお世話になっているからっそのお礼にっ・・・)
(お世話になっているなら私もでしょう〜?伊丹刑事〜)
ひそひそと話す二人に第三者の声が加わり、その声に伊丹は面倒くさそうに振り返った。
いつの間に近づいてきたのだろうか、米沢が半悲しそうにそして半楽しげに伊丹の肩を叩く。
(っつ・・米っあんたはいつも特命に情報流すだろうが!)
(へっへっへっ。おい伊丹ぃ抜け駆けは許さねえぞ〜)
(なにをっ)
(ここにいるメンバー全員目当てっつーこった)
(なっ・・まじかよっ)
亀山の言葉に、伊丹はやや顔を青ざめて花見の席へと集まった面子をまじまじと見つめた。
そこには密かに不敵な笑みを浮かべている面子が、伊丹を挑戦的な目で睨みつけていたのだ。
気づけば、三浦と芹沢もチラチラと、バスケットから中身を取り出し整えているに注がれている。
(まv勝負と行こうぜ、捜査一課の伊丹サンv)
(・・・・っつ)
かくして、ひらひらと舞う花びらに美しく映えるのハートを射止めるため満開の桜の下、
静かに、しかし激しく桜大戦が開始されたのであった。
NEXT(ちょい待って)
うん、やっとUPだよ;サイト初の選択夢です。人物はもうちょっと増えるかもな予定