「おっはようございますー!!そんでもってTRICK or TREAT?!」
+Halloween 〜悪戯は蜜の味?〜+
10月31日。
特命係に爽やかな声が響き渡った。にこにこと登庁してきた生活安全部・生活経済課のの
手には小ぶりのオレンジ色のカボチャが納まっている。
ちょこんと特命室を覗き込めば、おなじみの顔ぶれが・・特命係長の杉下右京に唯一の部下・亀山。
そして、いつもここで油をうっている角田係長に・・・・・
「おっ。おはよう!」
と、ちょこちょこと特命係に顔を出しては亀山と低レベルな言い争いを繰り広げる伊丹の姿が視界に入った。
見慣れた面子にさらににっこりと微笑むと「失礼しまーす」と入り、杉下のデスクにちょこんと手にしていたカボチャを置く。
「TRICK or TREAT!!ですよv杉下係長v」
「そうですねぇ・・。それでは、はい。」
「うわっvありがとうございますv」
にこにこと微笑むに、小さい笑みを浮かべる杉下。
亀山達のぽっかーんとした表情をよそに、杉下はデスクの上に置いてあった手の平サイズの
小さなオレンジ色の包みをの手に乗せた。
嬉しそうにへにゃあと微笑むに亀山がおそるおそる口を開く。
「お・・おい!。ひょっとして今日はお前の誕生日か?!」
「マジか?マジか?」
「っ本当か!!(やべえ、何も用意してねえっ)」
本人は全然自覚してないのだが、実は生活安全部のマスコット的存在の。
警察官採用身長ぎりぎりの小柄さに、深い闇を思わせる柔らかい背中まである髪をしっかりと結い上げ、
かわいらしい瞳に笑うとえくぼが小さく浮き出る。
また、のほほんとした人間性に女性職員、男性職員問わずかわいがられていた。
そんなマスコットの誕生日を把握できなかったことに、自分の情けなさを呪う三人。
けれどもはフルフルと首を横に振った。
「違いますよぉ。今日はHalloweenなんですよv」
と、あまり聞きなれない言葉に一瞬亀山の動きが止まる。
「あ・・・そう・・・Halloweenね・・うんうん」
「おめえ・・Halloween知らねえだろう」
?マークを飛ばした表情で頷けば、亀山の様子を見抜いた伊丹がすかさず突っ込んだ。
その小ばかにしたような表情にくわっと亀山が伊丹に突っかかる。
「うっせ!知ってるよ!!・・・・カボチャだ」
「バカめ」
「んだとこらあ!!ならおめぇは知ってんのかよ!!」
「ふんっ・・知らねぇ」
「威張るな!」
「Halloween・・とは日本で言うお盆に当たる行事です。
もともとはケルト人の宗教的行事で秋の収穫を祝い悪霊を追い払い、先祖や家族を偲ぶ。
後にアメリカにもこの行事が取り入れられるようになり、ジャック・オ・ランタンと呼ばれる
カボチャの提灯を作り、子供達が近所の家々を回り「Trick or Treat」の合言葉でお菓子をもらう。
とまあ・・日本にはあまりなじみのないイベントですがねえ」
「うん!それでねお菓子をもらいに練り歩くのに、皆お化けや魔女などの仮装をするんですよねv」
「そうですねぇv」
そうにっこりとと杉下は微笑み合うと、は満面の笑みで亀山と伊丹、そして角田へと向き直った。
「そんなわけで、Trick or Treat??皆さんv」
「え・・・?俺菓子なんて持ってねえよ?」
「あ・・俺もだ;悪い;」
うろたえる伊丹と亀山に杉下はクスリと笑う。
「そうそう。Trick or Treatとは「お菓子をくれないと悪戯をするぞ?」という意味です。
そうですよねぇ?さん?」
「はいv」
「「いっいたずら!?」」
「おうっ俺あるぞ?あるぞ?煎餅だけどいいか?」
一瞬特命室から消えた角田が少し息を切らして、再び舞い戻ってきた。
手には袋入りの煎餅が2枚納まっている。亀山と伊丹は「汚ねえっ」といった目つきで
角田を睨みつけたが、へへんと角田は得意げな笑みで胸を張ってみせた。
は嬉しそうに煎餅を受け取ると、にっこりと亀山と伊丹へと1歩踏み出す。
「ということはv亀山さんと伊丹さんは悪戯の対象でいいんですね!」
「「う・・」」
「ぐう」と唸る亀山と伊丹を、の後ろから楽しげに見つめる杉下と角田。
じりじりと迫ってくるに後ずさりをするも、軽い衝撃が背中に走りついに壁際へと追い詰められた。
「ふふーんv覚悟です!」
「「!?」」
次の瞬間、亀山と伊丹は驚きに目を見開き、杉下と角田は愕然と口を開いた。
亀山と伊丹は片頬に残る柔らかい感触に放心状態だ。
はにっこりと笑うと杉下と角田に「お菓子ありがとうございましたーv」とお辞儀をし、
自分の部署へと戻っていった。
「なんでえっ。俺も悪戯がよかったなぁっ」
少し不貞腐れたように出て行った角田を小さい笑みで見送ると、
杉下はさらに笑みを深めて、いまだ二人仲良く壁に背をつけて並んでいる大男2人を見やった。
そんな杉下の笑みはどこか黒いオーラが漂っている。
「さて、どうやらかなり魂を抜かれる悪戯だったようですねぇ。
なんとも羨ましい限りです。・・・亀山君、伊丹刑事?」
「もう、悪戯ばんざーい・・」
「隣に同じく・・」
「そうですか」と小さく頷くと、つかつかと亀山と伊丹へと歩み寄る。
「それでは、僕からも悪戯をしてあげましょう。そうすれば君達二人の放心状態も解けることでしょうから」
そう呟くと同時にがしっと亀山の肩を押さえ、が触れた片頬に触れた。
一気に現実の世界へと引き戻された亀山は恐怖におののいた悲鳴をあげ、伊丹は危険を察知し素早く
特命室から飛び出た。「危なかった」と冷や汗を拭い振り返れば、いまだ杉下に押さえつけられている
亀山が必死に伊丹に救いを求めている。
「た・・助けろ〜」
「それは無理だ。とばっちりは御免。あばよ!」
スーツの上着をそろえ、片手を挙げニヤリと亀山を見据えると、
幸せそうな笑みで踵を返していく伊丹に、亀山は伸ばした手を力なく下ろした。
「っきー!!って右京さん!!右京さんは合言葉言ってないじゃないですか!!」
「おや?そうでしたか?」
「ちっきしょー!せっかくののキスが〜!!!」
Halloweenもいつもどうり賑やかな特命係であった。
Halloweenネタのフリードリームどえす。(誰やん!)
ドリーム相手は誰だろう・・・亀山君と伊丹刑事の二人かな?でも得をしているのは伊丹刑事?
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宜しくお願いします。
(2004・10・30執筆)